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日本は春みたいな陽気なんですね。 コチラは、去年に比べれば凍えるほどの寒さでは ありませんけど、まあそれでも寒いです。 平均して5から6℃くらいかな。 今日は少し気温が上がったので、 午前中は日本の春のような日差しと風が気持ちよかったです。 ペーパがけに嫌気が差して、 1つ目の家具のレポートをしてませんでした。 ちなみに、この土台が例のペーパーがけした家具です。 この上に赤いキャビネットがきます。 ![]() この家具はドミニクの友達の家で使われていた、 レコードプレーヤーを収納していた、 キャビネットです。 レコードからCDプレイヤーに変わるそうです。 中は合板で作られていますが、 金箔と銀箔の蒔絵ははっきりとキレイな表情を 持っていますし、キレイになおせば使い勝手はよさそうです。 作業前、金箔とボディーが剥落しています。 ![]() そしてそんなに高くは無い家具と知って これをやらしてもらうことになりました。 塗膜も磨り減って気がむきだしになっています。 ![]() 全体のクリーニング、蒔絵のボディー作成 そしてカラーリングと移っていきます。 カラーリング後 ![]() その後色の補正をして、 ポリッシュで全体的に塗膜をビルドアップしました。 ボディーを作りました。 ![]() イタリア人のドメニコがフレンチポリッシュ のやり方を実演してくれました。 これはちょっと想像を超えたペースで、塗膜が作られていくので 驚きました。 インクワーク終了 ![]() 最終的にインクワークと言って、 顔などの絵を書き込むのは、僕には難しかったので、 ルシンダにやってもらいました。 どこまで、再現するか、保存するかが大きなポイントになってきますが、 コンザベーションよりなら、まずデザインの失われたところに インクワークとして、書き込むようなことはしないでしょう。 お客さんの好みによりますが、個人的にレストアーを依頼するような お客さんは、そこそこきれいに再現されることを望むそうです。 完成!! ![]() 作業自体は細かく、何度も色や形、質感を細かく見直しながら 修復されていきます。 この家具全体をなおすのに結局丸2週間費やしました。 カラーマッチングはなかなか楽しかったので、 もう一度やってみたいです。 #
by scott_hachisuka
| 2007-02-03 07:40
| 家具
先週はきつかった。 1週間サンデイングです。 サンドペーパー(紙やすり)で 毎日毎日ペーパーがけ。 一日6時間はやってたから、 手ははれるし、肩はこる。 この世界の厳しさみたいなものを ひしひしと感じた1週間でした。 ドミニクやケイトなど、 いま前線で活躍している人たちからすると、 時代はすこしづつ変わってきたそうです。 単純作業も意味といろんなレシピを 教わってできるのだから そんなに悪くないよ。 たった1週間じゃない。 彼らが見習いの時代には、 毎日ペーパーがけのような 単純な仕事を1年以上はやったそうです。 下準備と単純作業。 学校で修復を教わると言うことは、 そんなに一般的ではない時代でした。 弟子入りして 言われたことをやって 繰り返す。 そういう時代だったそうです。 日本だけではないんですね。 何事も下積みはついて廻るし、 その姿はしっかり見られてますから、 きちんとできなければ、 それ以上の仕事もさせてもらえないことは 言うまでもありません。 それでは 僕の中で葛藤が無く、 毎日ペーパーがけしていたか? そんなことありません。 なんども、このワークプレイスメントを辞めて、 学校の授業に戻ろうと思いました。 毎日貴重な時間ですから。 だけど、この仕事も締め切りの迫っている彼らにしたら 同じだけ重要な仕事です。 ただ、 毎日2時間かけて工房にやってきて、 6時間ペーパーがけやってまた 2時間かけて家に帰って。 何やってんでだろう。 それでも、この1週間できっちり仕事を終え、 次のステージに入りました。 これでまた、学校に戻ったとき 修復を出来る喜びが増えることだと思います。 やれやれやっと週末に入って一休み。 少し学校に行ってペーパーワークをやろうと 思ったのですが、学校に行く途中、 車がオーバーヒート。 完璧にとまりました。 来週またピートに見てもらいます。 今度こそしっかり直って、 何一つ問題なく乗りたいものです。 結構この車には 愛着があります。 こんなにゴタゴタしても イギリスに来て 初めて買った車だし、 今までも何だかんだあっても ずっと走ってきてくれたので、 またなおして走るなら乗りたいなと 今はそう思います。 もう、何だかゴタゴタも慣れてきて、 そんなに動揺することも なくなりました。 とりあえず、事故にもならなかったし、 この程度ですんでよかったとするか、 そう思っています。 みなさん、車はやっぱり新車ですね。 それでは、また今週も頑張りましょう。 #
by scott_hachisuka
| 2007-01-29 08:10
| イギリス
早いものでワークプレイスメントも3週間が過ぎました。 毎日ほぼ往復4時間の道のりを、定期的に遅れる電車にイライラしながら通勤しています。しかし、まあ、雨が降っては遅れ、風が吹いてはとまり、(今回の風は台風クラスだったので仕方ないのですが)それでも運賃は大陸の3倍はするといわれる高さですからね。ちなみに6週間の定期を購入しましたが、約10万円です。東京-熱海間ぐらいですから、高いのか安いのかわかりませんが、サービス的には良くないことは確かです。 気分を取り直して、ワークショップの紹介をします。 1月3日から、ロンドン、ウインブルドンにあるCompton &Schusterというワークショップでお世話になっています。 6週間の予定で、デコレイションスタッフを教わります。 主にギルディング、ジャパンニング、漆、ペイントスタッフなどになります。 主催者はヨークシャーにある、マナーハウス、Newby Hallの令嬢で、ルシンダさんです。主にヨークシャーで生活しているので、ロンドンのスタジオはビジネスパートナーの、ドミニクが仕切っています。 ![]() Newby Hallはイギリスでも有名な御宅です。13世紀ぐらいからあるそうです。 きっと教科書とかに載るようなところだと思います。 何で有名かと言うと、単純にそんな古い家が残ってるだけでもすごいのですが、 ロバートアダムによるデザインのネオクラシック調の内装と数多くのトーマスチッペンデールによるデザインの本物の家具が多数あることです。 ![]() ![]() 去年の3泊ヨーク家具ツアーでお邪魔したときには、国宝級といってもいい家具をかなりまじかでみせていただきました。オーナー自身も保存修復の権威であり、有名なラッカーワークのコンザベーターです。僕達以上に熱心に家具へのアプローチをしており、食いつくように家具を見ても嫌な顔ひとつせずに喜んで説明をしてくれました。 ![]() 数あるワークプレイスメントの候補にはウインザーキャッスルやその他美術館もあり、履歴書に書けば一目置かれる場所は沢山あったのですが、その時の好印象があってこちらにお世話になることを決めました。 ![]() コチラはやはりプレイベートのお客さんを相手にしているワークショップですので、ビジネス上勉強になることも多々あるだろうと言うことも考えにありました。 なにしろ、美術館系の仕事は時間がかかるので面白くないんです。 今はとにかく数をこなすことも大切な課題ですから、数多くの家具と触れ合うチャンスがあるほうが良かったのです。 去年の生徒が行ったウインザーキャッスルでは6週間でひとつの家具でしたが、今回は3つくらいは触らせてもらえそうです。 ![]() 次回からレポートに入りますが、まずはジャパンニングの家具がひとつ完了しました。 東洋の品物が貿易によってもたらされるようになり、お茶や香辛料が中心でしたが、ごく数量の漆の家具が入ってきました。その漆の家具に魅了されたヨーロッパの職人たちが富豪家の要望で似せて作ったものがその歴史の始まりです。また富豪家の間でお茶を飲むときは東洋風のテーブルと椅子で飲むと言うのも流行しました。 しかし、漆と言うものが使われていることを知るようになるまでに数百年かかるほど、その作成過程は謎に満ちていました。ですので、彼らはshellacやVernishを使ってその色合いと艶をまねていきます。今では、漆を使っていない東洋風に作られた家具をjapaning furnitureと言っています。一番下のこの黒い家具をなおします。 ![]() http://www.comptonandschuster.com/ Compton&Shusterホームページ http://www.newbyhall.com/ Newby Hallホームページ #
by scott_hachisuka
| 2007-01-20 09:14
| 家具
ガレージの再開を待っている間、 夜寝ようとすると、 業者と警察の顔を思い出しては寝つきの悪い日々を送りました。 ああいえばよかったとか、こういえばよかったのかと、 かなり気分のさえない毎日でした。 くよくよしたり、腹立たしくなって目がさえたり、 かなりのマイナスのエネルギーを放ちました。 こういうときに、思うのは「日本に帰りたいナー。」です。 現実逃避に入ります。 だけど、日本人がみんな善人でこんな風な詐欺みたいなことしないかというと そんなわけ無いですからね。 「振り込め詐欺なんて」日常になってますもんね。 イギリス人にも日本人にも悪い人もいる。 と言い聞かせて、なるべくイギリス人嫌い病にならないようにつとめました。 ワークプレイスメントへいって、 関係の無い彼らに愚痴って雰囲気悪したくないですからね。 今回知ったことは、事件や事故、災難は突然やってくる。です。 ほんとビックリします。 何で僕?なんで?って問いかけますよね。 理由なんかありやしないのですけど、なんか理由が欲しいんですね。 さて、年も明けて早速嫁さんにアポをとってもらい、 車をガレージに持っていってもらいました。 一通り状況を説明して、車を預けたのち、嫁さんに電話がかかってきました。 「車の損傷から言って業者がやったに違いない。どこの業者かおぼえてるかい?」 「いえ。覚えてません。」 「そうか、じゃあ、心当たりのある業者があるから、コチラから問い合わせてみる。」 「どうもありがとう。」 それだけ言って、電話を切ったのだそうです。 そんなこといったって、 今更状況が変わるわけでもない。 でも、そんな風に言ってもらえるだけでも嬉しかったです。 まあ、だめでもともとだし、そこまでしてくれたのなら、 修理費も払いがいがあるなー。と思いました。 次の日の夕方。 「車治ったから取りに来て。じゃあね。」 嫁さんに車を取りにいってもらいました。 「一番損傷の激しい部分は新しい部品にかえて全部で300ポンド。」 「そのうち君達の払う分は100ポンド。」 「???」 「残りの200は業者に払わすから。」 「えっ、うそ。ほんとに!」 「そんなの当たり前だよ。君達が悪いわけじゃないのに何で全額払わないといけないの?」 「まあ、そうだけど、全部諦めてたから。」 「それからこの書類を警察に持っていて説明しないといけないんだけど・・・。」 嫁さんのきょとんとした顔を見て、 「警察に言っておきたいこともあるし、一緒に行ってあげるよ。僕の後についてきて。」 もうこのあたりで嬉しさいっぱいで半泣きです。 その後嫁さんと一緒に警察まで言って何十分も一緒に待ってくれて、しかも全て書類手続きを済ませてくれました。 僕は、家に帰ってきてこの話を聞いて、唖然としました。 まさか、そんなことが起こると思っていませんでした。 どうやって第三者のガレージのおっさんがそんなことできるかわかりませんし、 あんなに突っぱねた業者が納得したのも何故なのか? ともあれ、なんとも嬉しくて、なんとも救われた気分でした。 いいことも、悪いことも起こって日々過ぎていくのですが、 悪いことがあっていいこともちゃんと起こりました。 ガレージの親父さんありがとう。 気持ちのいい笑顔だけでも救われるような気分になると思って ガレージ開くの待ってたんだけど、 ドラマの刑事張りにいろんなことしてもらって、 本当に感謝。どうもありがとう。 日本のみなさん、ポーツマスに来て車のことで困ったら PETE'S PLACEに行ってください。 間違いなく安心して任せられます。 PS 「親父さんもっと宣伝したいけど、これ日本語のブログやもんなー。 今度学校言ったらいっぱい宣伝するわ。 それから、今日初めて直った車に乗ってドライブ行ってきたでー。 めちゃくちゃ調子ええで。 ありがとう。」 #
by scott_hachisuka
| 2007-01-14 10:16
| イギリス
とりあえず車を直さないといけない事、 MOT(車検のようなもの)を取り消されたので、 もう一度受けないといけないこと、 そして全てがおわったら警察に書類を提出しに行かない。 これだけでも結構な手間ですし、たぶん15万ぐらいするかなと。 お先真っ暗な気分でした。 しかも、年末の忙しいときに車は必要ですから、とりあえず早くなおしたいのですが、ガレージに電話をすると、 「クリスマスと新年はお休みです。1月3日に会いましょう。」 と丁寧な明るいメッセージ。 このガレージでなおしてもらいたいので「待とう」と思ったのですが、 とりあえず早く事を収めてすっきりと新年を迎えたいという気持ちもあって、 他のガレージにも電話。 繋がらず。むなしくコール音がなるだけ。 早く車を直さないと、ずっと自分を責めるんです。 なんで前の日に車を動かさなかったんだろう。 何であの時NOって言わなかったんだろう。 なんでもっと口論しなかったんだろう。 だから早くなおしたかったのです。 この二つのガレージで比べるならメーセージありのほうに見てもらいたいですよね。 と言うことで、親父さんの気持ちのいい挨拶を思い出して待つことにしました。 ココの親父さんつるつる頭で、オーバーオール、肌艶はぴかぴかでなんともいい笑顔のおっさんなんです。前に見てもらったときに、 きちんと仕事している人の、自信に満ち溢れたオーラを感じて すっかり気に入ってました。 あの親父さんならきちんとやってくれるだろうし、 今回のことにしてもなんかいいこと、気持ちが楽になるようなこと いってくるんじゃないかな。と言う下心もあって、待つことにしました。 僕は1月3日からワークプレイスメントにでるので 車のことは嫁さんに引き継いでもらいました。 #
by scott_hachisuka
| 2007-01-14 09:56
| イギリス
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