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多分一番の難関 アイボリーのフレットワーク。 ![]() キレイに形をトレースすること。 これは試行錯誤していると、 クラスメートのハームが、フォトショップを使って形をトレースする方法を 教えてくれました。 ということで、形、サイズを手に入れ、 次は、カッティング。 ![]() ![]() テストピースが出来ました。 ![]() これをやすりでキレイに形を整えて完成です。 ![]() アイヴォリーのイミテーションで、一番質のあうものを探すことから初めて、 取扱店を探し、店へ出向いて、いろんな品物を見せてもらって、ようやくココまで出来上がりました。 #
by scott_hachisuka
| 2007-06-10 03:35
| 家具
その後の経過です。 writing slopeはその後4mmまで下がってきて、ココ1週間は下げ止まっています。 水分を吸って、このひねりは直ってきているのですが、 他の木材が膨張し始めました。他に開きや反りが見られます。 そろそろ次の策を考える時期に来ています。 フレットワークはテストピース経てOKをもらったので、コツコツと毎日空き時間に作っています。すこしづつデザインの理解も深まり、思ったようにカットできるようになって来ました。 そして、先週の木曜日、BAFRAからメンバーの1人が派遣されてきました。 家具と共にインタビューを受けました。 勝手な想像で、白衣を着た厳しい目つきの男性が来るのかと思いきや、 初老のおじさんでおひょいさんみたいなすっとんきょな感じのいい人でした。 しかし、この人すこしとんちんかん。 家具を見て、コンペティションに相応するいいオブジェクトか。 作業は終わるのか。 それらを調査しにやってきたのです。 いろいろと、最初の状態から今の状態を報告して、 OKはでたのですが、 このおじさんからたくさんの質問を受けました。 なぜ、ひねりのある部分を新しい木に変えないのか? なぜ、開いたジョイント部分をクランプで締め上げて、接着しないのか? などなど。 なぜ、このおじさんはトンチンカンかというと、 何でも早ければ、力づくでもやってしまえばいいというのが、 みえみえだからです。とても、無理強いをするいやな大人って感じでした。 その後何年かして出る影響などひとつも考慮していません。 僕達は極力オリジナルの家具の状態を保存しようと試みます。 そしてなるべく今の状態を変更せずに修復をしていきます。 しかし、このおじさんの年代では、何でも新しい部材にかえてしまい、 塗装も既存の膜をストリップして、新しいポリッシュを乗せてしまうという、 修理に近いやり方で長年やってきたのでした。 ですので、僕が今やってる作業の説明をしても、時間のかかることをわざわざやってるなんて信じられないというのが本音のようでした。 これがアンティーク修復師といわれる人たちの一面でもあります。 まだまだ、美術館のように保存を貴重として、修復をしていくという概念は根付いていません。 時間がかかって、手間もかかるので、修復師にとっても、お客さんにとってもなかなか許容しにくいのです。そこを根気良く説明して、理解してもらいながら作業をしていくことが必要です。 もしか就職して、同じ修復の考え方を持っていない場合、いやいやながら上司の言うことを聞いて作業をしなければいけないのかもと思うと、少しイヤーな気分になる一日でした。 #
by scott_hachisuka
| 2007-06-10 03:31
| 家具
これまでやってきた作業の一部を ポートフォリオとしてインターネット上で 見られるように、嫁さんがホームページを作ってくれました。 嫁さん、どうもありがとう。 インターネットエクスプローラーで見てください。 ファイヤーフォックスでは一部バグがあります。 http://www.masamune-workshop.com/g.html 中のサイトは英語になっていてわかりにくいかもしれませんが、 表紙の動く写真をクリックして、中に入ると 上のタブに、seat、case、table、othersと カテゴリーが分かれていまして、クリックしていただくと、 その中に行きます。 各種これまで作業してきた、家具の写真がありますので 見たいものをクリックしてください。 その中に、番号の振ったものがあります。 右上の写真を一度クリックすると 3枚の作業前、作業中、作業後の写真が出てきます。 見終わって、その次へ移動するときは、もう一度右上の 一番最初にクリックした写真をクリックして、下の3枚の写真が 消えてから、次のものへ移動してください。 おいおい、日本語や説明なども入れていきます。 ご意見等ありましたら、このブログコメントにておねがいします。 #
by scott_hachisuka
| 2007-06-03 03:30
| 番外編
寒くなったり熱くなったり コチラもイギリスらしい天候が続いています。 で、今日は嵐の前の静けさ。 さっきまでおひさんでてたのに、 今はこんな感じです。 ![]() ワークショップ内の温度が上がり、 湿度が下がり始めました。 室内の湿度が30%近くに下がるようになりました。 家具への影響が見られ始めましたので、対策が必要。 もともとインドで作られて、イギリスへ運ばれたらしいので、 既にビャクダンが暴れていて、 前回の写真のとおり、 ベルベットを破り、水牛の角で出来たモールディングを折り、 たくさんの象牙で出来た装飾を弾き飛ばしています。 トップのふたをつないでいるヒンジのピンもはじかれています。 これ以上家具への影響を防ぐため、エアコンが登場しました。 水分を含んだ風を送りながら、すこしづつ湿度を上げたり下げたりして、 希望の湿度に調整をしてくれます。 だいたい修復工房では50%付近が良いとされています。 日本製ならもっとスマートでエアコンなんかで出来るのでしょうけど、 コチラの製品は無駄に大きくて、いかにも単純なつくりの代物です。 それでも効果は大きくて、 湿度が上がっているのが肌をとうしてわかります。 この時期の僕は、湿度が低くて気温が高いとき、 体は汗をかきたいのですが、湿度が低くて汗をかけないため、 熱が体にこもり、鼻かぜをひいた様になっていました。 とてもしんどかったのですが、 今年はこのエアコンのお陰で、しっかり汗をかき、 体の調子がいいです。 自然環境にとても左右されやすい家具を目の前にして、 これを日本で紹介したり、作業をすることは 簡単ではないなと思うようになりました。 人間の体でも対応することがこれだけ難しいのですから、 家具を対応させることが簡単だとは思えません。 作業中はワークショップの湿度を測りながら、 作業が終わったら60%から70%ほどの湿度がある 階段下のビニールハウスへ移します。 さて、 ハウスへ移して2週間が経ちました。 予測では、 「もともとこの木はまっすぐだったであろう。その木の状態が一番安定する湿度に戻して、ひねりを元に戻そう。」 というのが試みでした。 さて結果は、 ![]() 開きが10mmから6mmに下がりました。 #
by scott_hachisuka
| 2007-06-02 17:11
| 家具
すこしづつwriting slopeの修復が始まりました。 この引き出しはビャクダンで出来ています。 かなり密度の高い木ですので、さくさく削れます。 その感触がとても気持ちのいい材料です。 鉋で削るたびにいいにおいがします。 ![]() このslopeの引き出しを分解することから始めたのですが、 僕は3時間かけて少し組み手を緩めただけでした。 それぐらい念入りに作られたいい組み手だったのです。 念いりというのは、全てのジョイントに膠が使われていて、 薄い底板は、焼き鳥の串ほどの太さの 鉄製のピンがしっかり仕込まれていていました。 写真の黒いところにピンが入ってました。そして、この薄さの板に 段継ぎがされています。 ![]() 見かねた先生がやってきて、30分で分解してしましました。 それはもう、外科医の名手とでもいえそうなほど、 見事な手さばきで、クラシックを鼻歌でかなでながら 楽しそうにやってのけました。 その後、 writing slopeが非常に乾燥した状態にあります。 それが原因で今の状態になっているのでは、という予想から、 木材の中にある水分をコントロールして 構造部分の修復に取り掛かろうということになりました。 いたって簡単です。 まずは湿度の高い場所を探します。 それよりももう少し高い湿度にして、 その場所にwriting slopeを保管して観察しています。 水牛の角で来たモールディングを割っています。 ![]() 象牙で出来た装飾をわって弾き飛ばしています。 ![]() 底板がゆがんで波打っています。 ![]() これらは全て下地材の木が暴れておこりました。 今は木がすごい力でねじれいてます。 無理やりクランプで締め上げるようなことはしたくなかったので、 一度テンションを緩めてから施工することにしました。 面白いことがおこります。 加工された木には記憶があって、木が一番いい状態に戻ろうとする。 と、僕は思っています。 一番心地よくて、そこにいたいと思う場所に戻るのです。 ですから、水分を一度多く含ませて、 乾燥させる工程ですこしづつ圧力をかけていけば もともとまっすぐだったものはまっすぐになる場合があるのです。 しかし、木にも曲者がいて、曲がった状態が心地よければ、もっとねじれる場合も ありますし、一度まっすぐになってもまたねじれる場合があります。 結局無理やりまっすぐには出来なのいので、 木にとっていい環境を作ってやるしかありません。 こういうのも、人間の性格に似ていて面白いのです。 修復によってそれぞれアプローチの仕方違いますので、 このやり方が全てではありません。 ただし、だいたい経験者は同じような方法を取りますので、 自然な理にかなった方法はそんなに沢山ありません。 それでもその方法をとる理由や考え方は人それぞれなのが、 その人の個性を表すので 面白いのです。 これからこの板が水分を含ませることで 今はねじれによって、角が上がってしまっているこの板が 何もしなくてもフラットになるかどうかの観察をします。 ![]() #
by scott_hachisuka
| 2007-05-26 21:33
| 家具
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