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「昨日の夜はどうだった?」 「今週末の予定は?」 「ホリデイはどうするんだ?」 毎日のかいわのきっかけ。英語での会話の開始のパターン。 苦手です。いまだに。英会話の少しネタ持っとく必要あります。 久しぶりに一緒に昼食をとるRさんが聞いてきました。 「みんなイースターホリデイはどうするの?」 オランダ人とドイツ人は帰国。 イギリス人たちは実家へ里帰り。 おじいちゃんとおばあちゃんに孫の顔を見せてあげるんだそうです。 僕は勉強するだけ。それも英語。 コチラの方は、「とにかくプライベートを楽しむ。」 仕事よりも遊び。積極的にみなさん休日を楽しんでます。 僕の休日は家で過ごすに決まってるので、 なんど僕が「家で勉強をして、後はインターネットやDVDでリラックスする。」 とこたえても、ちんぷんかんぷん。彼らには信じられないのです。 ワイト島 「なんのためにイギリスに来てるんだ。」 「その冗談はどこがおもしろいんだ?」 「で、どうするんだ。」 と、まったく人の言ってることに理解を示さず、話はながれ、説明するのもバカらしくなり、 わらわすつもりで、 「Rさんが僕にバイトをくれて、そのお金で僕とワイフはフランスに旅行にいきます。」 押し付けがましく、半ば本気でいってみた。 「OK。そうしよう。」 ん、なに、そんなもんなの?ラッキー。いってみるもんだなー。 というわけで、一週間のバイトをゲット。 先週、ホバークラフトで8分の所にある、ワイト島へ1週間通いました。 ホバークラフト 彼は家族で仕事をしています。 土地とハウスを買い取り、今風にリビルディングして売り出します。 彼の奥さんが、設計をして、デコレイト全般を担当して、 彼が基礎や躯体などを受け持ちます。 僕の仕事は、壁を2枚壊す、全部屋の天井のサンディイングをする、ゴミなどの片付け、材料の運搬などでした。 これ、めっちゃしんどい。 壁2枚ぐらい楽勝やろ。とおもったら、 3cmのプラスータボード+3cmのコンクリート+ 10cmのレンガ+3cmのコンクリート+3cmプラスターボードでできています。 めっさ分厚い。 重たいは硬いはでなかなかドリルも入りません。 一枚目はドリルで穴を開け、はつり機で倒していきましたが、 2枚目は壁が2列に並んでいて、2倍の労力。これには泣けました。 全身ドリルとはつりきの振動酔い。 背筋が壊れました。 リビルディング中 何とかスケジュールどおり壁を2日で2枚壊したのですが、 疲れすぎて寝つきが悪く、食欲も無くなっていました。 僕-「学校よりしんどいなー。リアルライフだなー。」、 Rさん-笑いながら「まだおわってないから。」 僕-「・・・。」 Rさんはなかなか厳しいのです。 サーフスポットのある岬 普通のイギリス人は毎日TEA TIMEをしっかり取るのですが、 彼の仕事の進め方は疲れるまで体を動かす。ラジオをガンガンかけながら、歌いながら 疲れたらTEA1杯と少し何か食べる。 パンとかりんごとか。 また動く、疲れる、休むの繰り返し。 ラジオから彼のお気に入りの歌が聞こえると急いでボリュームを上げる。 僕に聞く。これ誰か? 僕「知らない。」 Rさん「はい。レンガ追加。」 僕j「・・・。」 1時間の昼休憩とか、30分のTEATIMEはありません。 3日目は壊した壁の材料の仕分け。 これがまたレンガが重い。腱鞘炎になるわ! こびりついたコンクリートをのけるの大変。 クリーニングしたレンガ 基本的にどの材料も無駄に重くてでかい。 どの機材も頑丈にできてますが、でかくて重い。 この日100個近くのレンガと奮闘。 「レンガ嫌い。」 あほの子みたいに思わずつぶやきました。 4日目、5日目は比較的楽に作業も進み、 Rさんの思っていた範囲よりも進みがよく仕上がりもいいとお褒めの言葉をいただきました。 毎日こんな良い天気でした。 この一週間自然とマンツーマンの英語レッスンになりました。 で、英語で話をすることの気まずさや、恐怖感も払拭してもらい、体も動かし、お金もゲットし、大満足です。 Rさんにこれまでの身の上話を聞かせてもらいました。 苦労してるだけあって、言うことが違います。 感心してたら、こういって励ましてくれました。 僕達が「日本からきて何とか留学生活をやりぬくために真剣な感じが素敵だ。」 「おのおのが大切なステージを一生懸命やりぬくことだよ。」 「みんな与えられた自分のステージを受け止めていくんだ。」 これが彼の考え方だと思います。 「勉強をしている人。お金儲けをしている人。貧乏をしている人。 それぞれがただ今のその人のステージなだけさ。」 つまり上も下もない。 ところでこんなハードワークの後、 サーフィン、ボディーボード、カヤック、サイクリング、モーターレースなど、 少しの時間を見つけては子供を引っ張り出して、真剣に遊びます。 彼らはこの環境で子供を育てるために、その期間だけワイト島に住んでいます。 子育てが終われば、この家を売って次の人生をまた別の土地ではじめるのだそうです。 親子でクリケットしてました。 浜辺をランニング、この日気温4度・・・。 Rさんこれから海へ。風強く、気温4度・・・。 すいません。僕は断りました。きっと体温が違う。 ワイト島は素敵な島です。 海で遊ぶこともできますし、 馬や牛の放牧場もみられますし、 個人ジェットでロンドンから遊びに来る人もいます。 観光地にもなっていて、ビクトリア女王の別荘だった家もあります。 ワイナリーやガラス工場などもあり、夏には観光客でいっぱいになるそうです。 島の住民はお金持ちが多く、環境のいい場所で子育てをしたい人、リタイヤーした後の生活の場所などで島の外から沢山の人が流れてくるそうです。 面白いのはいつまでたっても橋をかけません。 島民が反対するからです。 橋を架けたら人であふれかえり、島が汚れるから。 これは間違いなくイギリス人ならではの考え方ですよね。 便利さよりも、環境を。 んー、便利な方がいいな。 人懐っこい。 #
by scott_hachisuka
| 2006-04-15 04:36
| イギリス
さてさて今回はオランダ人のFくんとHさんです。 彼はオランダから来ています。F君はこのクラスの中では1番の経験者です。 高校を卒業して、はじめから家具の修復師になるつもりで、家具製作を3年、修復を4年勉強しています。 学校の先生も実技に対しては何も言うことがないというほどの凄腕です。 音楽が大好きで、作業が終わって部屋に帰るとテクノからジャズまで幅広い彼の音楽コレクションが鳴り響きます。 彼は高音の大きな音が苦手です。 いきなり木工機械や掃除機の音が鳴ると耳をふさいでいます。 ですが、部屋では音楽はがんがんです。 貴公子のような彼はいつも物腰が柔らかく非常に丁寧に人に接します。 いつも温厚な彼ですが、彼は今2年生のカリキュラムをこなしていまして、 非常に大変な毎日です。 ストレスがたまるといきなり音程をはずしながら大声で歌いはじめます。 工房にいるときはいつまでも道具を眺め、ひたすら木材の木目を見つめ、 考え込んでいます。tea time もベンチの前で作業を続けています。 かなりの家具オタク。 彼は絶えず、出会う人と名刺交換をし、あつく家具について語ります。 正式なフェアーにいくときは絶えずジャケットにネクタイでオールバックです。 僕は彼と今年出会えたことに感謝しています。 丁度この間、彼とゆっくり話す時間があったのでいろいろと質問してみました。 「修復をするにあたって何が大切ですか?」 「我慢、いい道具、マーケティング」 ん、こやつただの家具オタクではないぞ。 もっと技術的なことを言うのかなと思ってたら意外な意見でした。 彼が言うには、 「とにかくこれも商売のひとつだから、まずお金を定期的にもらえないと成り立たない、キャッシュフローをよくしとかないといけないんだと。とにかくこれは大切なことだ」と。 「時には意に沿わないことでも仕事ならやらなければならないし、そこに修復とはリペアーとはと難題を持ち出すよりも、お客さんがハッピーで家具の価値を損なわない直しならやるべきだ」いってました。 「ビジネスをはじめれば毎日5時で作業が終わるわけでなく、毎週休みが取れないかもしれない。それでもやりたいかどうかだよ。」 これは僕も仕事を持つということはそういうことだとおもっていたのですが、 彼のような中堅の修復師から、そのような言葉が出るとは思っていませんでした。 日本だけでなくオランダでも、商売に対する考え方は同じようです。 これからも彼とはゆっくり会話を重ねながら信頼関係を築いていきたいと思っています。 HさんはF君と同じオランダ、同じ学校からきました。 彼女はとても背が高く体も大きくて家具の搬出入などいつも男以上のパワーを発揮します。 正直、喧嘩したら負けますね。 ハートも強くてうちの先生にも対等に、物申します。 おかしいと思ったら必ず曲げずに戦います。 昔の日本のおかんって感じかな。 うちの先生は気難しさで有名なのですが、彼女にかかると先生もおとなしくなります。 先生が余りにもオーバワークで生徒の細かいリクエストを忘れると、みんなのところを紙とペンをもって回ります。 「先生への週末のホームワーク」 名前と要望をタイピングして先生に渡します。 ナイスアイディアなのですが、半分冗談半分本気な提案は、ドイツ人先生に通用するのかどきどきでした。 勿論大人ですから、冗談でとおるのですが、うちの先生はタイミングを間違えると偉いことになります。 Hさんは自信があったみたいで、笑いながら先生に渡してました。 先生も「やられたなー」というかんじで嬉しそうに受け取ってました。 勿論次の週には全て手はずは整っていました。 それからぐっと先生と生徒のコミュニケーションがうまく取れるようになったと思います。 Hさんかっこいいです。 実家はとても裕福らしく、ヨーロッパのいろなところに別荘があって、馬に乗るのが大好きだそうです。先生として馬に乗ることを教える免許を持っているそうです。 彼女も既に4年間就学してこの学校を総仕上げに来てますので腕はかなりのもんです。 二人とも英語がうまいのでそんなにコミュニケーションで困るということは無いのですが、 ストレスがたまるそうです。 僕達3人はよく英語、日本語、オランダ語、ドイツ語、フランス語で色んな単語を教えあいます。彼女達はオランダ語と英語それにドイツ語とフランス語も少ししゃべります。面白がって色んな単語を話しているのですが、イギリス人は照れて輪に入りません。 この二人をみて僕のオランダへの印象はすこぶるいいのです。 工房でよく最後まで残ってるのもこの2人ですし、誠実で勤勉です。 非常にシニカルで毒も吐きますが、けっして人の揚げ足とったり裏をかくようなことをしません。 正々堂々といつでも人と向き合います。 彼らいわくみんながみんながそうではないといそうです。 基本的には怠け者の人が多いのも事実だそうです。 僕達は別に国を背負ってきてるわけではないのですが、どうしてもその人の印象でその人の国を語ろうとしてしまいます。 ですが、あくまでも僕達はマイナーなジャンルのマイナーな世界にいることも事実です。 1人2人の人間を見て、全てを判ったような気になるのは危険なことだなと思いました。 ただ今年の生徒がそうなのか、偶然なのかわかりませんが、 みんな考え方のバランスが良くて、何か偏った家具バカや木工バカがいないのです。 みんな冷静に、思慮深く回りの動きをみて自分たちの意見を謙虚に言う人たちですので、 話をしていてもとても気分がいいです。必ずヨローッパがアジアより優れているといったような意見もありませんし、かといって自分たちの文化をひげもせず、素直に事実を受け入れている感じがします。イギリス人にしてもオランダ人にしても、自分たちの文化の悪いところもいいところも 「it is just style.」だそうです。そのまま受け止めることは大事なことだそうです。 願わくは、このクラスの人が沢山来年も残ってくれるといいのですが・・・。 #
by scott_hachisuka
| 2006-04-13 06:06
| 学校
今日は少し主張します。勉強不足で間違いがありましたら是非ご教授ください。 といってもお腹をすかせたときの苛立ちなのですが・・・。 学校は給食であります。 食堂というかビュッフェというかトレーをもって一列に並んで好きなおかずをとっていきます。 ほとんどの生徒はコチラの寮に入っていますので、3食付です。 いくらこの食事にあきても、自炊する体力無いそうです。 寮生によると、授業と実技と宿題でヘロヘロだそうです。 僕達ロングタームの生徒は、だされた食事は毎日美味しくいただいています。 イギリスの食事にしては味付けもいいのです。 僕は牛肉大好き。豚肉最高。鶏肉主食です。 魚は給食には出ませんが、焼き魚を目の前にすれば、今なら本気で泣くでしょう。 野菜も食べます。デザートも食べます。 納豆、すいか以外は。 (狂牛病のときも鳥インフルエンザのときも美味しくいただきました。 いまさら騒いでも僕にそれを本当に見分ける力ありませんから、もし市場に出回ってればきっともう食べちゃってるだろうとおもい、ここで我慢する方が体に悪いと変なこじ付けをしていました。どうしても焼肉食べたいって時がありました。) しかし、このイギリスにも健康ブームらしきものがやってきてます。 糖分を避ける。脂肪を減らす。など、それらを減らすための薬を飲んでる人もいます。 べジタリアンもいます。アートよりの生徒に多いみたいです。 狂牛病もあり、バードフル(鳥インフルエンザ)もあり、結構みなさん気を使ってます。 そんなことはお構いましに、がっつきます。 ナイフとフォークは絶えず両手に持ってないとマナー違反。 おしゃべりをしながら、少しづつ切って、口に運ばないとマナー違反。 無理。ごめん。黙って早く食べる。(うちは生存競争厳しかったの。早く食べないとおかず無くなるの。)全部料理を切り刻んで、一気にフォークで口に運びます。勿論ナイフはおいて片手で。 家具のクラスではこんなタイプのやつばかりなので、今のところ許されてます。 というか、「全部切ってから食べる方が快適なのですが」と、一応断っています。 そんながさつで短気な僕からすると、イライラするこtがあります。 それは・・・、 うちの食堂はトレーをもって好きなものをとりながら回る方式です。一列に並んで進みます。 みんな迷いながら食事を選ぶことを楽しみます。 ですが、それはもう、ぐったりと壁にもたれて待つほど、ゆっくり進みます。 20代の若者はテストより辛いそうです。 僕でもイライラします。 これが最近の健康ブームでショートコースにやってきたお嬢様方は一つ一つたずねます。 「この料理には何が入ってるの?」っは?「卵は何を使ってるの?」鳥の卵。。。。「魚は入ってないですね?」ポークってかいてあるでしょ。。。 などの質問。厨房の人も丁寧に答えます。 「お腹がすいた家具の会」が後ろからいっせいに早くうごけとイライラオーラを放つのですがいっこうに前に進みません。こんなことが多いのなんのって。日本人の僕だけかと思ったら、ヤッパリみんなあれには辟易してるそう。 どうも口に入れるものをきめているらしい。 んー、体に気を使う素敵なショートコースの方々へ。 「自分で食事作ってもってこい。」と言わしていただきます。 人様の作ったものの中身全部聞いてたら、コチラの昼休憩は終わっちゃうの! 後ろで腹をすかせた貧しい留学生がトレーを抱えて待ってるの! ショートコースの受け入れ担当者様へ。 「うちの調理はタダでさえお年より向けに薄味にしてる」からとか、 「材料も財団で取れたものを新鮮なうちに食べてる」とか、 心配ないって説明しといて。お願い。 もしくはレストランではないって説明して。 昔、日本でみんなで海に行ったとき、1人のお嬢様が言いました。 お嬢様 「冷奴たべたい。」 僕達 「いいね。」 お嬢様 「ココの豆腐は木綿ですか?絹ごしですか?」 僕達 「・・・」 海の家ではこんな質問しないですよね? 僕も多少のことは我慢します。僕も全てのマナーを守れてませんから。 ですが、こういうのはおかしいと思うのです。 好き嫌いがおおいわけではないですよね? 勿論、そういうファッションでもないですよね? 健康や環境に配慮されてるのですよね。 僕がもしそういうタイプなら、初めて行くところで出される食事なんか怖くて食べられません。 絶対自分で持参します。 「主義主張があるなら自分で手間隙かけてください」といいたい。 自分の主義主張を人任せにするな。 僕の主張。です。 ながながとすいませんでした。 #
by scott_hachisuka
| 2006-04-10 07:13
| 学校
コチラはやっと暖かくなってきました。 といっても僕はまだ冬装備ですが。 部屋にいても暖房が無くてもすごせるようになってきましたが、長袖フリースの上に高松のふとん屋さんで買った半纏をきます。何とか震えずにはすごせます。(暖房費 節約、節約。) 天気のいい日には、コチラ地元の人たちは半そでだったりしますので、ずいぶん体温が違うなと思います。(たぶん日が出てるときは少しでも肌を焼きたいのでは? もしくは日光消毒か?) 工房で仕事をしてるとだんだん暑くなります。シンプルさんもブログで書かれてますが、一枚づつ脱いでいって最後に半そでになります。コチライギリスでは脱いだ途端に寒くなってすぐに着ます。この辺の体調管理は大切だと思ってこまめに着替えるのですが、なかなか快適に過ごすのは難しいです。 みんなは半そでで汗かいて作業やってるのに僕はまだ長袖。みんな不思議がって「寒いのか?」と聞いてきます。この辺の感覚がいまだわかりません。「寒いから着てんだろ!」あまりに同じことを何度も聞くので「あなたはイギリス人ですが?」と聞き返します。こいつはわけがわからんという顔をしてどこかにいきます。10分して別のクラスメートが「寒いの?」だって。 看板必要です。「寒いので長袖着てます。」今度胸からさげとこ。 さて今回はブラスインレイのテーブルトップです。2回ほど前に作業箇所の紹介をしてそのままになってましたので、今回はその後の進展を報告します。次回報告しますといいながらロンドンの見学の方に2回分さいてしまいました。報告がおそくなってすいません。 メインイベントのブラスインレイです。 これは曲面に沿って曲げながら膠で接着されてます。なぜか一方だけ多数のピンでとめられています。一度手直しが入っているようです。あまりにも木の収縮でのブラスの飛び出し方がひどかったのか多くのピンが使われていました。 これが裏目に出て、ピンで抑えられながら飛び出そうとするので、曲がり方が急角度担ってます。伸ばすのが大変です。 取り外し完了。 すこしづつ小さなのみでブラスを浮かしていきました。比較的スムーズに取り出せました。 その後ブラスのはまっていたトートシェルの中をクリーニングしました。 この接着には膠が使われていますのでお湯でふき取ったりヘラでそぎとったりと耳掃除をしてるようなものでした。 クリーニング完了。 割れていた引出底板の角です。この底板自体2cmほど縮んでいて足りないのですが、まずはこの割れを張り合わせました。このマスキングの使い方、結構ききます。何度かねじって引っ張りながらはるといい感じに締め付けます。 膠で接着 24時間放置 続きまして、引き出し前板の角のかけ。これは木の種類を餞別するのが難しく、一部木目を木の本と照らし合わせました。また文献からこの当時引き台に使われた可能性のある木も搾り出しました。結果ホリーとなりました。 大まかなかたちに切り出してクランプで24時間固定してます。 この曲線に沿ってこの後ラインを出すのですが、そり台鉋は必要だなとおもうようになり「木の工房「花みずき」さんが経営されている大工道具販売の曼陀羅屋」さんに相談させてもらいました。僕の留学はインターネットなしでは考えられません。木材について、木工作について、機械について、わからないことがあるたび色んなサイトからヒントをいただいたり、時にはメールを出して質問してみたり本当に助かっています。 この後ブラスの接着、角のパッチの着色などに繋がります。次回へ続く。 #
by scott_hachisuka
| 2006-04-06 04:58
| 家具
さてさて ややこしいキクイムシの話は終わりまして、ロンドンの中心部サウスケンジントンだったかな、キングスロードに大きな仮設テントが出ておりまして、そちらでイベントは行われていました。BADAに登録されているアンティークショップがブースを構え本当に一級品と思われる家具を展示しておりました。面白い光景だなと思ったのは、かなりの広い範囲をレストランにしており商談をしながら食事もできれば、訪れた人が一日じっくり家具を見ることができるようになっておりました。 この日は天気が良くて春を感じました。 入り口には山高帽って言うんですかね?ツバメを着た人が戸をあけてくれて恐縮。 シャンペンを飲みながらどうぞごゆっくり。 これまでに何回かフェアーやSHOPを見て回って実物を見る機会に恵まれてきているのですが、今回の家具は本当に豪華でした。なんていえばいいか未だにうまく言葉が見当たらないのですが、イギリスの家具のは本当にすごいんだなと、クオリテイーの高さは世界一なんじゃないのかと思うほどでした。 僕もこれから、なぜきれいな家具とそうじゃない家具があるのか?についてはもっと考えていかなければならないと思っているのですが、何故こうも魅了されるのか? 自分なりに推測してみました。 まず、ひとついえることはバランスが取れている。人の目でかんじる「少し長い」とか「短い」「高い」とか「低い」、「狭い」とか「広い」を感じ取るセンスは万人がプロ急だと思います。何を基準に感じているのかわかりませんが、そのバランスに文句のつけようが無いとき、感動します。初体験でした。 次に曲線と直線のバランスが取れている。辺に技術を誇示したり、装飾にはしってないので、ラインがきれいに現れている。 何時間でも眺められそうなきれいなラインの椅子。75000ポンド。家買えますね。 後はまだ推測ですが、素材が正しく使われていて、構造がしっかり作られていて、仕上がりが正しく施されているのではないでしょうか。 行き過ぎた装飾やデザインでなく全てのバランスの上に成り立つということは非常に難しいのではないかと思いました。ですから、歴史的価値から言えばビクトリアアンドアルバート美術館にある家具たちに軍配が上がると思いますが、ココまでの感動を受けることはありませんでした。 華奢すぎず、ごつすぎずきれいです。 実際に家具たちの値段も飛び上がるほどのものがついてましたし、数点は非売品で値段がついていない物もありました。 このようなフェアーにいくと女性のオーナーが多く気さくに話ができます。 僕達はやはり家具を見るとひっくり返したり、棚を出してみたりと確実に周りの景観からは かけ離れた行動をとりますので、あまり良い顔をしない人が多いのですが、 今回は非常に興味深い話を聞くことができました。 特に面白かったことは僕達の講師陣の話で、「座面張替えの先生は頑固で無口だけど腕が良いことではイギリス中で知られてる。」とか、「刃物の研ぎを教えてくれた先生は酒が大好きでおしゃべりだよね。」などなど。 みなさんさすが女性人はいい職人を抑えていますし、同時によくその人となりを見ているようです。学校の先生によるとディーラーは店にお客さんが入ってきた瞬間にどんな家具を欲しがってるか?、予算がイクラか?ほぼわかるそうです。 ですから海千山千の彼女達に僕達職人が見透かされるのは当然と。 彼女達も比較的裏表の無い裏方の人との付き合いも楽しいのだそうです。 ですので「ウエストディーンからきました。」というとお客でなくても、「ああーあの学校ね。」と慣れ親しんだ顔で色んな話をしてくれました。 で、後は試されます。 この家具はいつのものだ? 国はどこだ? この木は何の木だ? デザインは誰の影響を受けてる? 散々聞かれて、答えはまったく見当はずれでたじたじです。それでも一つ一つ本を読むならこれがいいとか、あそこのショップのあの家具は見ておいた方がいいとか色んな情報をもらえますので、非常に勉強になります。 シェラントンという18世紀のデザイナーがフランスの影響を受けてでざいんしたものらしい。 実際に家具を見るということで今回は新たに勉強したい内容も加わりました。 基本的にレストアラーは職人とはべつに、同じような技術を用いて美術館などで活躍するコンザベーターと呼ばれる人たちがいます。美術館のところでも触れましたが、今回の素晴らしい家具を見ていかに家具を保存して、長生きさせるかということも考えていかなければならないと思うようになりました。ハンドメイドで素晴らしいデザインにめぐり合い、今もって何百年前の状態を保っていることは奇跡に近いと思います。これを後世に伝えることも大切な仕事だと思うようになりました。以前は「飾られる家具なんて。。。」と思っていましたが、その必要性もわかりましたし、そのような仕事の必要性も肌身を持って感じました。 ですのでやはり実際に家具を生で見る、できれば使ってみることは心の中で何かが変わることがありますので、是非一度そのような展示会には脚を運んでみてください。 今回は興奮のあまり説明書きを読むのを忘れたので詳細はありません。 1851年のイギリスで行われた博覧会に出展された椅子です。 そうそう今回は学校からもブースを出していて、冬に公式の写真撮影があったのです。このときワックスがけをしていて、動いていいのかとまった方がいいのか、なかなかシャッターを押さないので照れくさくて恥ずかしかったのを思い出しました。なんか複雑な顔してますけど、てれくさいだけです。 東洋人ということが珍しいのか家具代表で写真が飾られていました。イエーイ! #
by scott_hachisuka
| 2006-03-29 07:18
| 家具
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