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いつも家具を直し始めるのはコンストラクションの確認が一番です。 Function first Beauty laterです。 この上下の抽斗は開かなくなっており、まったく機能していませんでした。 ので、まずは力ずくで開けても壊れないかを確認して、引っ張り出しました。 よく構造を見てみると、 クオドラントというセクレタリーの前板を操る 真鍮製の金物が曲がっていました。 ![]() そして、200年分の開け閉めの繰り返しで、 引き出しの底と、本体内側のレールが見事に磨り減っていて、 上手く滑らなくなっていました。 真ん中少し右くらいに縦に走る1cm角ぐらいの長い角材が見えますが、 その先端がスキーの板のつま先のようにえぐられています。 ![]() 底板が削れて、内側のランナーといわれる部分がむき出しになっています。 ![]() この引き出しのすべりと、セクレタリーの前板を ストレス無く開けることができるようにすることが 今回のコンストラクションの手直しです。 考え方は 1、全て新しいものに取り替える。 これは、機能優先で日常使うことを想定しています。 オリジナルをとりかえるので、すこしもったいない気がします。 しかし、今の時点でのオリジナルの状態を保存して、 将来的にもっといい修復の方法が発見されたら、 オリジナルにその処置を施して、価値を損なわずに使えます。 ですので、取り外したものは全てかぐの見えないところでくっつけて保管します。 2、えぐれてるところへ新しいものをジョイントして、 オリジナル半分、新しい木材半分で使います。 まあ、折衷案ですね。 でも、ジョイント部分は平らにするので、 幾分かのオリジナルを失いますし、 上に書いたようなことが将来発見されても、 その時はオリジナルを生かすことはありません。 また、時間がかかります。 3、そのままにしておく。 オリジナル原理主義者で、 家具を保存することを目的とする人は 意外にこのままにしておいてくれといいます。 美術館スタイルの保存です。 とにかく何も加えない、削らない。 で、僕達とクライアントは相談して 上のレールは完全に隠れて見えない部分であり、そして損傷が激しいので1番で対処。 下のレールは下から見えるので、やはり、見え方としてオリジナルの雰囲気を残そうということで、2番の対処。ということになりました。 そして、厚めのビーチで挟み込んでまっすぐに。 ![]() 上側のレールは同じオークで作り変え、 下は削られた分だけ新しく入れなおしました。 この新しい部分を、オリジナルと同じ寸法で入れ替えると不具合がおきます。 家具を正面から見たとき、引き出しと本体には隙間が出来ています。 この隙間が四方均一になるように調整します。 ![]() この新しい部分はワックスを刷り込み、 ワックスだけで色を馴染ませます。 オリジナルよりも1.5mm分厚くして、 隙間をだいたい均一に調整しました。 そして、新しいものは摩擦が大きいので、 プラスチックのヘラで何度も何度も表面をなめして、 スムーズに動くようにしました。 もう、この抽斗がスムーズに動くときは 快感です。 ![]() これで、コンストラクション完了。 この部分の作業が少ないということは、かなりコンディション的にはいい状態です。
by scott_hachisuka
| 2007-03-11 03:16
| 家具
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