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最近手がきれいだ。 いつもはアニマルグルーが引っついてカピカピになってたり、 塗装膜をクリーニングしていて色が手についたり、 つめの中が黒かったりして良く嫁さんに怒られます。 指が短くて、肉厚の手ですが、見るからに職人ぽくて気に入ってます。 もうダサさが手ににじみ出ています。 夏休みに入って家具を触ってなかったので手がずっときれいだったのです。 若干嬉しいのですが、物足らないような気がしていました。 そしたら、Rさんとこのバイトが始まってまた手が汚れる毎日になりました。 へんな言い方ですが、仕事が終わって手を洗っても完璧に汚れが落ちないようなときに「ああー今日も仕事したな。」と思うのです。 普段持たないハンマーや、スコップや、でっかいバールなんかで毎日ガッチャンガッチャンやってると、だんだん手も慣れてきて、マメがいい感じに硬くなってきました。 普段使い慣れていない、筋肉をつかうものだから、筋肉痛もひどかったのですが、幸い体も慣れてきました。 要は今の段階は解体現場なので、物を壊したり、ばらしたり、ゴミステをしたりしてるのです。 どうしても、物を雑に投げ捨てたり、大きな音を出すほど思いっきり倒してみたり、そういうことができないようです。ガンガンやっちゃって良いんだけど、なんかできない。 これは僕だけじゃなくて、一年間うちの先生が変な音に敏感に反応するせいですが、Rさんもなんとなくできないようです。 今日は電気屋さんが来て、そんな2人の解体現場でミョウに丁寧な作業をみて面白がっていました。 今日も解体。 今日のメインイベントはかなり古いタイプの雨を流すパイプ。 これが全て鉄でできてまして、やたら重い。 1Fから3Fまで軒から下水へと繋がっています。 これが1m*3本連結されています。 足場を組んで地上3.5mまでは上れるようにしました。 下から1本ずつ外していきます。 これがほんとに重い。 1本目、あまりに重いので壁に固定されてるフックを外したら「ズドン。」 目の前を鉄の塊がすり抜けていきました。 新幹線並みの速さで。 ビビりました。大げさじゃなくて。 これでどうやって外せば良いかわかったのですが、 問題は外した後どうやってこの重さを支えるか。 考えましたよ。 答えは、「頑張るしかない。」 いつもこんな感じやな。 手でささえるしかない。 ということで2段目に上がり、2本目。 片手でパイプを抑えて、片手でフックをはずす、ゆっくりフックを外して「パッと両手で支える。」成功。 上手く2本目を外しました。 このとき下から2.5mほどの高さ。 さあ次は3本目。 3段目に上がってフックを外す。 はずれたが、軒から抜けてこない、ゆっくり回転させるとすこしづつ抜けてきた。 しかし、長い。 あまりに長いので腰をすこしづつ下げながらゆっくり抜いていきます。重い。 まだはずれない。はさむような持ちかたでは、重すぎて支えきれないので、一番を下を両手で持つ必要があるのです。 要は応援団の旗手みたいな格好です。 あまりに重いのでそーとおろさないと自分もよろけて下に落っこちます。ゆっくりゆっくりスクワットの体制で膝を曲げて低くして、バランスをとりながら長いパイプをゆっくり足場に向けておろします。 この間、何度かRさんに視線をなげかけ助けての合図。 勿論Rさん見てみぬふり、手を振っています。 ここまで来てやっと覚悟を決め、最後まできちんと引っこ抜くことに決定。 ゆっくりゆっくり腰を沈め、なんとか足場に下ろしたとき、初めて下を見て思わず震えました。「意外に高いのね。」 ガンガン力任せに引っこ抜かなかったので外壁を傷つけずにすみました。 ふーと息をして、自分的にはかなり盛り上がったので万歳とガッツポーズをしてみた、地上3.5mいい眺め。海が見えた。隣の庭が見えた。 途端に拍手が起こりました。 「えっ」とおもったら、一部始終を隣の庭でお茶をしながらご夫婦が見ていたみたいです。お母さんがニコニコして「もう、ズドンって下に落とすとおもったら、ゆっくり丁寧に最後までおろすなんて。やるわね。」「俺は彼がそうするとおもってたさ。」ってお父さん。暢気な顔してニコニコして笑顔でこっちを見てます。ドラマのワンシーンじゃないんだから、そんなに笑顔で拍手しなくても。 2人にはかなり面白いライブだったみたいです。 ほんとはかなり「いやいや」やってたのです。 覚悟が決まるのが遅いのはいつものことですが、 最近は上手くやっても当たり前みたいになってきて、Rさんも大して褒めてくれないし、もういっそのことパイプと屋根ごとぶっ壊そうかともおもったくらいでした。 「やらなくて良かった。」修復屋の端くれとして、きれいな解体を心がけてますから。ってあとづけですが。 いやー。こんなことあるんだなー。 でも。NYであった友達の言葉を思い出しました。 「あなたはいつも1人ではない。いつも誰かが見ている。それは神様かもしれないし隣人かもしれない。」 自分1人だけのときほど行動には注意しましょう。 手に汗びっしょりかいてて、今日は皮の手袋の青色がついてました。 いい仕事したね。お疲れ様でした。気温20度秋模様です。
by scott_hachisuka
| 2006-08-17 05:03
| 番外編
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