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やっとこさ仕上げの段階まできました。 先生もくみあげまでは興奮していましたが、 組み上げが無事おわってからはかまってもくれません。 とりあえずクリーニングからすることにしました。 この家具は20年以上も湿気の強い倉庫に放置されていました。 ですので湿気で表面のポリッシュはふくらみテント状になって盛り上がっていました。 そして、その後乾燥してぽろぽろはがれる現象が起こっていました。 ![]() ![]() もしきちんとあしつけが行われており、木の細胞に浸透するような仕上げの方法をとっていればこのような状態にはならないのではないかと思います。 何百年も経ったポリッシュの表面は汚れたり艶が落ちても、しっかりと木の細胞に根ざす形で膜を形成していれば問題無く上塗りができます。 ですのでこの状態をまず取り除きます。メチレイティドスピリットで溶かしながらふき取ります。 そしてペーパーがけ、徐々に番数を落としていき、最後は0000と言われるグレードのスチールウールもしくはマイクロメッシュのサンディングペーパーで丁寧に表面を整えます。 僕もまだ仕上げに関してはわからないことだらけです、基本的に自分ひとりでは仕上げの工程を決定できません。それぞれの特徴を見分け、その状態に応じてクリーニングの仕方や材料の餞別をしなければならないのです。ですので、基本はあっても、家具の数だけ仕上げの方法は違ってくると思います。 ですが、必ず正解があって、コンディションに沿った仕上げの選別は仕上がりに跳ね返ってきます。 今回は表面のクリーニングを終えた後、まずは黒色の判定をしました。黒はいらんな色がまじっています。混じっていると言うより、重なり方があると言った方がいいでしょう。 紫の濃い色、茶色の濃い色、赤っぽい、緑っぽい、つまり光に透けた黒には色があると言えるでしょう。今回はWALNUTカラー(赤茶)を下地にしました。 このSOFAはChaina Glass Cabinetと同じ部屋に置かれるので、Cabinetのベースの黒と合わせることにしました。手に持っているのはcabinetの脚です。バーニッシュクリームで磨いただけでこんなにきれいな艶が出ます。’黒さ’の感じはあっています。 ![]() まずはステインで染色して、ベニヤに色をつけていきます。だいたい黒のベースができたらブラックポリッシュを重ねていきます。 ![]() ![]() 染色の終わった段階です。アンモニアがステインにまじって入っており、これのお陰で木の繊維の奥まで色が浸透します。 通常は溶剤と1:1で割るのですが、ここでは幾分ブラックポリッシュを濃くして何度も重ねていきます。今回は時間が無いのでどんどん重ねていきました。 表面が乾燥してきたら、ペーパーでとげるまで待つ時間も無かったので、バーニッシュクリームで表面をならしました。これらは研磨剤の一種や表面を少し溶かして艶を上げるリバイバーの一種です。手で触ってもざらざらがわからないほどですが、綿などで磨くときれいに艶を出します。 ![]() (補修屋時代に知っていれば鏡面仕上げに使えたなと思います。 最後はこれで磨くとかなりの仕上がりになると思います。 溶剤の相性があるかもしれませんが、 たぶんスプレーやワックスで暑くコーティングした後、 これで丁寧に磨けば良いと思います。 このバーニッシュクリームにはいろいろ種類があってその表面の状態によってうまくいくものといかないものがあるので、数種類を絶えず持っておいて、テストをして、一番艶の上がりがいいものを選択すると良いと思います。 ただしあくまで推測ですのでテストピースを作っていませんので実証していません。これらの製品における使用に際して不具合が起こってもサイトでは責任は負えません。ですのであくまで憶測です。) ![]() ![]() 少し工夫したところ。ベニヤを貼り付けた部分の見付は厚みが出て見た目が悪いので少し面を取りました。ので前から見ても出っ張らずすっきりとしました。 そして、黒の重なり方、光をすかしたときの感じがOKになるまでこのBPを繰り返しぬって、その上に、今回はトランスペアレント・ポリッシュを何回か重ねました。これが着色を保護してくれ、硬いフィルムをつくりかつ木としっかり組み合わさって丈夫な塗膜を形成します。最後はハードワックスを塗り何時間も磨き続けました。 それでは作業前作業後でお楽しみください。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 多少写真がわかりにくいですね。作業終わった後で写真撮る頃にはもうヘトヘトです。 今現在お客さんがシルクの選別をしていて、布はりやさんがとりあえず下地の調整や、ウェビングの張替えをしています。 今度7月15日に卒業式と展示会があり1年で一番大切な日がやってきます。 残念ながらSofaは布を張った状態ではありませんが、展示されます。 いろんなことを勉強させてもらった貴重な作品になりました。 次回は布はりのための作業を多少したのでそのことについても書きたいと思います。 また、6月の28日にBAFRA主催の学生の家具修復のコンテストもありましたのでそのことについても書きたいと思います。 それでは、暑い日が続いて良いるのですか? 日本では、コチラは気温は28度くらいまでは上がりますが、涼しくて気持ちの良い日が続いています。ゆっくりと本を読んだり映画を観れるその日までもう少し頑張ろうと思います。
by scott_hachisuka
| 2006-07-02 07:57
| 家具
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