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気がついたらこの前の更新から、半月もたってしまいました。 読んでくれてる数少ない方々ごめんなさい。 この間、STUDY TOURがあって、イギリス北部のYORKに研修旅行に行きました。 このYORK付近には世界的にも有名なお城や、 個人の家など、歴史的建造物が多くあります。 家具を3日間見続けました。写真を撮った数が300枚以上。 それでも撮影禁止場所も2箇所ほどあったので、相当の数の家具を見ました。 このツアーについてはまたじっくり書きたいと思います。 それでYORKでは僕達がつく一日前に豪雨で川が氾濫しており、 気温も急に冬に逆戻りしてました。 気合の3mm丸刈りをしてから行ったので、さむいのなんのって それまでの疲れもあり、一気に風を引きました。最近やっと調子も良くなってきました。 さてそんなこんなでツアーから帰ってくると、先生はいきまいておりまして、 (今回はサブチューターのマイケルが同行) 「来週中には椅子貼り屋にみてもらいます。クライアントも見に来るから。よろしく。」 急に忙しくなってきて、ここからもう急ピッチに今の段階まで持ってきました。 今はもう最後の段階で脚についていたスクロールを掘り込んでいます。 これが終われば後は、アームとバックを差し込めば終了です。 さて次回からの続きです。 バックフレームをどうやってまっすぐにするのか? このバックフレームは荷重のかかる方向と反対に反っているのがなぞです。 いろんな人に聞いてみたりしているのですが、イマイチわかりません。 とにかく、これを真っ直ぐにするために、スティームにすることに決めました。 先生、アシスタントチューター、生徒全員でディスカッションして、決定しました。 大まかにいって、2通りあります。 ひとつはこのフレームの表面をベニヤとして5mm程度のこして中身をまっすぐなビーチで作り変えること、勿論表面からはわかりません。フレームの強度も上がり、使われる家具としては自信を持ってクライアントに渡せます。ただしオリジナルのマテリアルをほとんど取り除きますのでこの家具の価値は損なうことになります。 もうひとつは、このスティームです。強度的にはまっすぐになれば問題はありませんし、ほぼ完全にオリジナルを残せるといった意味では非常に、修復として価値のある方法です。 しかし、再発する可能性はあります。 準備としては、まず、ほぞ穴からあらゆる方向にドリルで穴を開けます。これで、スティームが芯まで通りますので、クランプで用意にまっすぐに矯正できるようになります。 また、既に虫殺しの処置はしてあるのですが、中は沢山の小さな穴が開いていて強度が落ちていますので、先生がコンデンス(薬品で硬さを出す処置)すると決めたときにもこの穴を使って処置ができます。 ![]() ![]() そして、既に新しくパッチをはめたところでは、スティームで接合部分がはがれないように、養生をします。 その後このようなスティームボックスにいれて、一日中蒸します。計2日間、10時間に渡ってむしました。スティームボックスは簡単な構造で、茶碗蒸しやシュウマイ蒸したりするのとまったく同じことです。 ![]() そして治具に固定してまっすぐにします。 ![]() 最初の状態では、3~4cmほど正目から見て上に反りあがり、また上から見て横に曲がっていました。 一日目の蒸しとクランプで1.2cmほどまでまっすぐになりました。 ![]() ![]() 二日目で0.7mmぐらいまでまっすぐになりました。 ![]() ![]() この状態をなるべくキープするために折れて紛失していたセンターサポートレイルを新品のビーチで2枚ほぞにして作り変えました。 これで多少の乾燥でバックフレームが曲がろうとしても、当分は持つのではないかと思います。 ![]() ![]() さあやっとこれでフレームが組み立てられますので、アニマルグルーで接着しました。 ここから前の回に書いた5番に移ります。
by scott_hachisuka
| 2006-06-04 03:48
| 家具
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