|
さてさて ややこしいキクイムシの話は終わりまして、ロンドンの中心部サウスケンジントンだったかな、キングスロードに大きな仮設テントが出ておりまして、そちらでイベントは行われていました。BADAに登録されているアンティークショップがブースを構え本当に一級品と思われる家具を展示しておりました。面白い光景だなと思ったのは、かなりの広い範囲をレストランにしており商談をしながら食事もできれば、訪れた人が一日じっくり家具を見ることができるようになっておりました。 この日は天気が良くて春を感じました。 ![]() 入り口には山高帽って言うんですかね?ツバメを着た人が戸をあけてくれて恐縮。 ![]() シャンペンを飲みながらどうぞごゆっくり。 ![]() これまでに何回かフェアーやSHOPを見て回って実物を見る機会に恵まれてきているのですが、今回の家具は本当に豪華でした。なんていえばいいか未だにうまく言葉が見当たらないのですが、イギリスの家具のは本当にすごいんだなと、クオリテイーの高さは世界一なんじゃないのかと思うほどでした。 僕もこれから、なぜきれいな家具とそうじゃない家具があるのか?についてはもっと考えていかなければならないと思っているのですが、何故こうも魅了されるのか? 自分なりに推測してみました。 まず、ひとついえることはバランスが取れている。人の目でかんじる「少し長い」とか「短い」「高い」とか「低い」、「狭い」とか「広い」を感じ取るセンスは万人がプロ急だと思います。何を基準に感じているのかわかりませんが、そのバランスに文句のつけようが無いとき、感動します。初体験でした。 次に曲線と直線のバランスが取れている。辺に技術を誇示したり、装飾にはしってないので、ラインがきれいに現れている。 何時間でも眺められそうなきれいなラインの椅子。75000ポンド。家買えますね。 ![]() 後はまだ推測ですが、素材が正しく使われていて、構造がしっかり作られていて、仕上がりが正しく施されているのではないでしょうか。 行き過ぎた装飾やデザインでなく全てのバランスの上に成り立つということは非常に難しいのではないかと思いました。ですから、歴史的価値から言えばビクトリアアンドアルバート美術館にある家具たちに軍配が上がると思いますが、ココまでの感動を受けることはありませんでした。 華奢すぎず、ごつすぎずきれいです。 ![]() 実際に家具たちの値段も飛び上がるほどのものがついてましたし、数点は非売品で値段がついていない物もありました。 このようなフェアーにいくと女性のオーナーが多く気さくに話ができます。 僕達はやはり家具を見るとひっくり返したり、棚を出してみたりと確実に周りの景観からは かけ離れた行動をとりますので、あまり良い顔をしない人が多いのですが、 今回は非常に興味深い話を聞くことができました。 特に面白かったことは僕達の講師陣の話で、「座面張替えの先生は頑固で無口だけど腕が良いことではイギリス中で知られてる。」とか、「刃物の研ぎを教えてくれた先生は酒が大好きでおしゃべりだよね。」などなど。 みなさんさすが女性人はいい職人を抑えていますし、同時によくその人となりを見ているようです。学校の先生によるとディーラーは店にお客さんが入ってきた瞬間にどんな家具を欲しがってるか?、予算がイクラか?ほぼわかるそうです。 ですから海千山千の彼女達に僕達職人が見透かされるのは当然と。 彼女達も比較的裏表の無い裏方の人との付き合いも楽しいのだそうです。 ですので「ウエストディーンからきました。」というとお客でなくても、「ああーあの学校ね。」と慣れ親しんだ顔で色んな話をしてくれました。 で、後は試されます。 この家具はいつのものだ? 国はどこだ? この木は何の木だ? デザインは誰の影響を受けてる? 散々聞かれて、答えはまったく見当はずれでたじたじです。それでも一つ一つ本を読むならこれがいいとか、あそこのショップのあの家具は見ておいた方がいいとか色んな情報をもらえますので、非常に勉強になります。 シェラントンという18世紀のデザイナーがフランスの影響を受けてでざいんしたものらしい。 ![]() 実際に家具を見るということで今回は新たに勉強したい内容も加わりました。 基本的にレストアラーは職人とはべつに、同じような技術を用いて美術館などで活躍するコンザベーターと呼ばれる人たちがいます。美術館のところでも触れましたが、今回の素晴らしい家具を見ていかに家具を保存して、長生きさせるかということも考えていかなければならないと思うようになりました。ハンドメイドで素晴らしいデザインにめぐり合い、今もって何百年前の状態を保っていることは奇跡に近いと思います。これを後世に伝えることも大切な仕事だと思うようになりました。以前は「飾られる家具なんて。。。」と思っていましたが、その必要性もわかりましたし、そのような仕事の必要性も肌身を持って感じました。 ですのでやはり実際に家具を生で見る、できれば使ってみることは心の中で何かが変わることがありますので、是非一度そのような展示会には脚を運んでみてください。 今回は興奮のあまり説明書きを読むのを忘れたので詳細はありません。 1851年のイギリスで行われた博覧会に出展された椅子です。 ![]() そうそう今回は学校からもブースを出していて、冬に公式の写真撮影があったのです。このときワックスがけをしていて、動いていいのかとまった方がいいのか、なかなかシャッターを押さないので照れくさくて恥ずかしかったのを思い出しました。なんか複雑な顔してますけど、てれくさいだけです。 東洋人ということが珍しいのか家具代表で写真が飾られていました。イエーイ! ![]()
by scott_hachisuka
| 2006-03-29 07:18
| 家具
|
ファン申請 |
||