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7月15日 卒業式を迎えました。 最後の10日間は作品の仕上げと、卒業展示会への準備で 毎日、目が廻るほど忙しくすごしました。 こういうときに各国国民性が出てきて面白いのです。 オランダ人2人はもうすぐ家族が卒業式に来るということで そわそわしており、作業もストップ。きりのいいところで早々と作業場を後にして 毎日色んな友達とお別れ会。楽天的。 イギリス人は普通ですね。特に感慨深い感じでもなく、淡々としておりました。 やることやって、次に備えるといった感じです。冷静。 ドイツ人、最後の追い込みに向かい、だんだんやることが増えてくるのでストレスいっぱいになってます。小さなつまずきに非常に大きく反応を示すので面白いのですが、今回は暑さと、作品のし上げ方で先生と意見が合わずイライラモード。卒展2日前に色の塗りなおしを命じられたりとドイツ人の先生とドイツ人の生徒の格闘は見ごたえがありました。何か言われると生徒の方はカチーンと来るらしく、すぐ作業場を離れて頭を冷やしにいきます。そして戻ってきてまたもくもくと作業を行います。感情的。 日本人、最後まできちんと全てやり遂げようとする。周りから見ても取り付かれてるようで怖い。 だんだんヒステリックになってきたりして、黙って床を磨いてたりして怖い。 なんせ、緊張感の高い10日間でした。 なんといっても家具のクラスだけですからね。最後の最後までこんなに緊張感張り詰めて作業場に居るのは。他のクラスはもうフリーになって各自に時間の使い方がまかされていますので、非常にリラックスしています。 今週の初めに先生宣言しました。 日本のヤンキー張りに目をぎらつかせて、 「今週はフルタイムで(朝7時半から夜10時まで)いっから、よろしく。」みたいなのりでした。 31歳にして若干脅されてるようで怖かったです。それほど彼のこの卒業展示会への意気込みはただならぬものがありました。 先生は日に日に疲れていき目の下にクマを作っていきましたが、とにかくいい仕上がりにするんだと意気込んでいました。 僕は早めに作業を終えたので、卒業展示のお手伝いをしておりました。 ディスプレイ用に台をくみ、ペンキで色を塗りなおし、掃除をして、はなを飾ります。 先生にはペンキが少ないから少しだけの上塗りでいいからと言われたのですが、どうせペンキ塗るなら全部同じ色にしたほうがいいなと思い、英語わからなかったふりをして、全部塗りました。先生ごめん。 口でいっても言い負かされるから、強行手段に出ました。 このとばっちりをD君がうけ、彼はペンキを買いにいかされました。D君すまん。 何故それほどにこの展示会が大切なのかとたずねたら、 全国、海外からもアンティークディーラーやレストアラー、クライアントがみにきます。 印象がよければ、いい家具のなおしの依頼が来るからだそうです。そして、勿論生徒の職にも繋がります。 僕は後で知ったのですが、この場で生徒は売り込みをして、お客さんを増やすのだそうです。 ですので、当日には既に、各自、名刺やポスターを作成してしっかり売り込みをしてました。 さてさて、この日朝は最後の作品のチェックをして、昼ごはんを食べ、午後2時30分ぐらいから式典が始まりました。 こういう海外の式典がどのように進行されるのか興味深かったのですが、 いきなり校長先生が前に出て、挨拶をしながら今日の進行方法の説明をします。 司会進行をかねているんですね。 それで来賓1名の挨拶があって、そのあと1人づつ、名前を呼ばれて卒業証書をもらいに壇上に行きます。 この日僕は初めてそれなりの服装をして式に出席しました。 これまで、たびたびロンドンの展示会などで、 フォーマルな服装を求められていることを聞き逃しており、 皆からブーイングだったのですが、 この日は皆が「明日はフォーマルだぞ。」と教えてくれたので、 しっかりネクタイをしめて出席しました。 そしたらなんと皆ノータイでさらっと着こなしてます。 今日はそれなりでよかったのです。 勿論、作業服ではありませんが、 早い話、かつがれたんですね。 僕はしっかりキメキメでひとり浮いてましたが、 クラスメートから拍手。 あんまり話したことないほかの学生さんからも声をかけていただきました。 嬉しかったです。 こういうところが、彼らのいいところですね。素直に褒める。 それで無事賞状をもらって式を終えました。 各クラスの担任の先生が名前を呼ぶのですが、 少しづつ、冗談を言い合うんですね。 各先生達も10年以上のキャリアがありますので、その辺の息のあいかたは 流石でした。 何だか緊張していてよく話を聞き取れないのですが、 各先生たちの気持ちが伝わってきて感動しました。 もう卒業式なんて慣れてるはずなのに、 なんかさらっと流さないんですね。 無骨に緊張した面持ちで精一杯話をしようとしているんですね。 生徒達は、これから先仕事がずっとあるかどうかもわからない状況です。 イギリスでも現場の予算は少なくなっていますし、 お金をもうけられる職種ではありません。 それでも、このような人々の真摯な姿勢を見られることはとっても良かったなと思います。 この一年あっという間でしたので、なんかお別れというのも実感が無いのですが、 皆ひとりひとりと挨拶をするときにはぐっと来ました。 またどこかで会うような気がするので、また会いましょうといいました。 かれらによい仕事がめぐってくることを祈っています。 そして、また来年の卒業式には胸を張って旅たてるよう精進しようと思います。 追伸 自分のできることを手を抜かず精一杯やる。 お金に換算したり、何かえられるものがあるから一生懸命やるのでなく、 自分が選んだ道だから、ただ目の前のできることを精一杯やる。 それをやって成功するかどうかはやってみなければわからないので、 失敗したら次の方法を試してみる。 諦めない、うまくいくまでやる。 そんな毎日を積み重ねる。 誰に頼まれてきたわけでもなく、自分のわがままできたのですから。 ただただ毎日をきちんと送りたいと思います。
by scott_hachisuka
| 2006-07-17 05:25
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